15 Julito Rodriguez
シーコにはもっとパンチョス盤があったはずだが番号がわからない。58年に日本では日本ビクターと同系列の別ビクターからパンチョスのLPが二種、完全なオムニバスまで加えると三種出されている。完全なオムニバスといったのは他の二枚にしても抱き合わせであるからだ。一枚は今いったビルヒニア・ロペスのLPから6曲と組み合わせられていた。そして二枚とも解説シートつきなのでジャケット裏は英文なのだが、いずれもSCLP_9078の流用同文だった。ついでにいうとビルとのSCO_5009「国境の南から(サウス・オブ・ザ・ボーダー)」のデザインはSCLP_9117ミート・ザ・ガバリェーロス(ティト・ギサル、チューチョ・マルティネス・ヒル)からの流用でありこのレコードから二曲がもう一枚のSCO_5017の埋め合わせにつかわれた。5017のパンチョス10曲でLPを作れないから埋め合わせが必要だったのである。(なのにセレソ・ローサとアバンドナーダが無視された)。
苦言を並べたが、この日本盤の登場は有り難いことだった。そしておまけがつく。イストリア・デ・アモールが「ある恋の物語」と訳題されたことである。デ・ウン・アモールのほうは既に1年前からペレス・プラード楽団のがLP「ハバナ午前三時」(注1)の中で「或る恋の物語」の訳題で好評だったから、レコード編成時に同曲と思ったとしても不思議ではない。ところがデ・アモール発売から5日か10日遅れてコロンビアがパンチョスのデ・ウン・アモールを「愛の遍歴」として出したのだからややこしい。コロンビアはアルビーノ期に吹き込ませるまでこのタイトルを押し通した。ティコ盤はアメリカ・コロンビアも一枚噛んでいるのではないかと前述したが、シーコ盤はメヒコ・コロンビアの、それも特注品(おもに非売品)や外地販売を目的とする特別企画部とか製作部とかいったものが発行するオーダーシートにもとずいて作られたのではないか。ウナ・アベントゥーラ・マスがまぎれこんだのはその過程でのミスのように思える。シン・ベントゥーラと記載するつもりでうウナ・アベン・トゥーラと記してしまう、そのあとでこのあやまちを忘れてシン・ベントゥーラ書き入れてしまう、受け取ったほうはそんないきさつは知らないし受け取った音も重複しているわけではない...などと考えてみるのだけれど、いずれにもせよここにシャウ・モレーノ期のウナ・アベントゥーラ・マスがまぎれこんでしまった。アブルーニャ・ロドリーゲスがフリート期のウナ・アベン・トゥーラ・マスを加えたもとはSCLP_9078にある。彼女の著書の表紙にはパンチョスのLP がデザインされているのだがそこにもこのレコードは欠かされていないし、日本盤にもこの曲はしっかり収録されている。まことに罪作りなことで"もう一度のアバンチュール"どころではすまされない。
本題からははずれるが、その後のアメリカでのパンチョスの出されようについてふれておこう。とにかくティコとシーコに発売を依頼していたコロンビアは、57年ごろから世界の音楽開発に着手し、CL記号のはかにWL記号のシリーズを始める。ちょうどアビレス2期に重なっていて、パラグアイのディグノ・ガルシーアのトリオやインドのラビ・シャンカールなどにまざってWL_112ア・モーメント・オブ・ラブ(注2)が登場する。58年2月新譜である。(このことはあとで解析するがこのLP、次に記すWL_141ビーバ・ロス・パンチョスも含めてアメリカでの編集である)だがこのシリーズは3年と続かなかった。59年4月、新譜、アビレス2期WL_141を経て、★( My Disco Avilés2)60年5月のトップが替わったWL_317、ニユー、トリオ・ロス・パンチョスあたりが終止譜で方向をラテンアメリカだけにむけたEX記号のシリーズに移る。5001から番号は始まるのだがタンゴを含むアルゼンチンものが6枚あって、パンチョスは60年12月新譜の5006~8が第1回目だ。08はアルビーノ期だが06・07は例のエポカ・デ・オロの1・2集だった。EXシリーズはカセレス期まで続くのだがここで終わってしまう。かってティコとシーコにさせたように販売がケイレ・インダストリーのカイトロニクス・レーベルにゆだねられてしまうのである。そのCYS1006から1037は全部パンチョスなのだから恐ろしい(現物を一枚ずつ目にしたわけではないがカタログ上はこうなっている)。Caytronics1.
(次回.16)クワルテート・アビレス/ロス・トレス・カバジェーロス
フリート・ロドリゲスは戻らない、そう悟ったヒルとナバーロはエルナンド・アビレスに働きかける。なおアビレスとフリートはその生涯をつうじてただの一度も会ったことがなかったという。…La Hisutria16.
注1)オリジナルはLPM.1257.もちろん30センチLPだが面白いことに日本では25センチ盤として登場このかたなんども再発売されながらオリジナルの編成で出されたことが一度もない。
注2)収録曲のひとつウン・ミヌート・デ・アモールの直訳。日本でも58年10月にタイトルをひとひねりした「PL_5087.恋のムード」として登場したのだから、かなり早かった。
余禄  今はまぼろしベスト・セラーズ
>余談にわたるがパンチョスといえば絶対に無視できないベスト・セラーズについて一言しておこう。初代は25センチ LPだったが30センチ時代の到来とともに水増し、これぞ決定盤とした。(そのまま日本でも発売されたが歌詞対訳つきと親切)。EXシリーズに移行してそのまま出るのだが擬似ステレオ化、盤上にステレオの文字が浮かぶ。これはCBS(60年代にコロンビアはCBSに名を変えた。注1)と手を結んだソニーがその初回発売のひとつにしたのだが流石に沽券にかかわると考えてかB面をアルビーノ期のキサスなど本当のステレオに変え、25センチのオリジナルからマリア・エレーナがけずられる。ジャケット・デザインはEX盤を流用、だがベスト・セラーズの題は消えた。しかしアメリカ人はベスト・セラーズとかラテン・アメリカン・ヒットなどのタイトルが好きらしい。
実はEX版ベスト・セラーズ(EX5183、ステレオES_1883.だがモノラール版は本当に出たのだろうかカタログ上の処理ではなかったか)の前にEX_5061(ステレオES_1761)。これも同じ。コンパチブル・ステレオなど当たり前になっていたのだから)モア・ラテン・アメリカン・ヒッツを出しているのだ。このタイトルは昔のベスト・セラーズの表現を変化させ、モアと強調したように思える。実際に12曲のうち7曲がベサメ・ムーチョなど25センチのベスト・セラーズと同じ(ご想像どおりマリア・エレーナがない)なのだ。ただしすべてアルビーノ時代の日本録音である。(エル・ブーロ・ソカローン、エル・フォンド・デルマールなんかはどうかと思うが)。この盤はケイレに販売がゆだねられたあとも番号を変えて生き残っていた。
今ふれたようにコロンビア(CBS)はソニーと合体してCBS/SONYになり、遂にはソニーとなってCBSは消滅、レコードもCDに移行してしまう。思えば我々はとんでもない昔話をしているというわけだ。
EX_5186/ES_1883 Columbia・EX 5183, ES 1883.30cm,USA
Canciones del Corazòn Latin- American Best Sellers
                             Primera Voz
A
1.Bésame Mucho                 Moreno
2.Perfidia
3.Te Quiero Dijiste
4.Amor
5.Quiereme Mucho
6.Solamente Una Vez (You Belong Tu Heart)
B,
1.Vaya Con Dios                    Julito
2.Sin Ti                                    Avilés
3.Aquellos Ojos Verdes       Moreno
4.Maria Elena                         Moreno
5.Sin Un Amor                        Avilés
6.Anna                                     J
ulito
COLUMBIA EX_5183/ES_1883 COLUMBIA    EX_5183/ES_1883
More Latin American Hits COLUMBIA ES_1761 Columbia EX_5061/ES_1761
Mole Latin American Hits
Trio Los Panchos Y sus Canciones Favoritas
A.           Primera Voz Johnny Albino
1.Bésame Mucho
2.Historia de un Amor
3.Te Quiero Dijiste
4.El Burro Socarrón
5.Amor
6.La Ultima Noche
B.
1.Quiéreme Mucho
2.Solamente una Vez
3.Perfidia
4.El Fondo del Mar
5.Aquellos Ojos Verdes
6.Adiós Mariquita Linda

COLUMBIA  EX_5061/ES_1761 COLUMBIA EX_5061/ES1761
CBS/SONNY  SONX_60004 CBS, SONY ・ SONX 60004  30cm盤 68,9.Japan
El Trio Los Panchos Bésame Mucho
A, Primera Voz / Shaw Moreno
1.Bésame Mucho
2.Te Quiero Dijiste
3.Perfidia
4.Amor
5.Aquellos Ojos Verdes
6.Quiereme Mucho
7.Solamente Una Vez (You Belong Tu Heart)

B,Primera Voz / Johnny Albino
1.Quizas,quizas,Quizas
2.Quien Sera
3.La Malaguena
4.Cielito Lindo
5.Estrellita
6.La Paloma
7.La Golondorina
CBS/SONY SONX 60004 CBS/SONY SONX_60004
CBS.SONY・SONX 60004.Bésame Mucho、外国で強いパンチョス・メロデイと言うことになるとモレーノ時代のベサメ・ムーチョ、キエレメ・ムーチョなど世界的に有名なラテン・ナンバーの吹込みと言うことになるようだ。逆にメヒコでは、この時期が短かったこともあって印象がうすいらしい。このレコードは1968年にスタートしたCBS ソニーの第一回発売だが、不思議な評判をとった。そのひとつは世界的な音響機器メーカーであるソニーがのり出したレコードの第一回発売なのにA 面が技術ステレオ(モノーラル時代のBésane Mucho、Quiereme Mucho・・・7曲)。かっての25センチLP「ラテン・アメリカ・ベスト・セラーズ」から Maria Erena をぬいたもの)であること。これはもとの米国盤EX 5183、ES 1883.がそぅなっているので仕方がない。ひとつは他社から発売された盤の対訳が無断で流用されたこと。Ta
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